SEIWA | Leather Craft :: Fabric Dyeing Forum | 染色・レザークラフトフォーラム | 箕輪直子|NaokoMinowa

NS014607Image1

NS014607Image2

NS014607Image3

NS014607Image4

NS014607Image5

NS014607Image6

NS014607Image7

NS014607Image8

NS014607Image9

NS014607Image0

NS014607Image11

草木染めの魅力は
偶然のおもしろさ。

Profile
みのわ•なおこ(染織家)
東京都千代田区出身・品川区在住
共立女子大学家政学部生活美術学科染織専攻卒業
日本染織協会 会長
(所属 楽習フォーラム・リビングアート手織倶楽部、楽習フォーラム・草花のキッチン染めアソシエイツ)
手織りと草木染めのショップ[Studio A Week] 主宰

著書に「草木染め大全」「手織り大全」「手織りを楽しむ・まきものデザイン150」誠文堂新光社刊「おうちで草木染め」パッチワーク通信社刊 ほか多数。
NHK「すてきにハンドメイド」ほか各方面で活躍中。


藤田(SEIWA企画部、以下略)
――現在どのような活動をされていますか?


箕輪直子 氏(以下敬称略)

 わたしは染織家として、草木染め教室と手織り教室の講師や関連書籍の著書の執筆をはじめ、品川区西五反田でStudio A Week(スタジオ・ア・ウィーク)を主宰し草木染めと手織りに関する商品の販売を行なっています。


――最近ではとくにNHK大河ドラマの技術協力など、活動の分野も多岐にわたっていますよね?

 そうですね。2013年NHK大河ドラマ「八重の桜」の風吹ジュンさんが機織りをするシーンなどを代表に染織全般の技術監修をしています。NHK「すてきにハンドメイド」の教育番組にも出演させていただいています。


――染織に興味を持ったのはいつごろでしたか?

 染織に興味をもったきっかけは神田の共立女子中学校に通っていた頃でした。当時、演劇部に所属し大道具の担当をしていたのですが、文化祭で「夕鶴」を上演することになりました。
それでわたしは大道具担当として、鶴が機織りをする時に使う効果音を付属大学の家政学部の染織教室に録音をしにいくことになりました。

 それで大学の染織教室に訪ねに行ったのです。すると、窓越しに見える高速道路を背景に悠然と機織りをする女子学生がいて、わたしはその光景にハッとさせられました。

 その光景は今まで機織りに抱いていた古めかしい印象とは対照的に、わたしの目には都会的で新しいものとして映りました。

 はじめて見た布が織られていく作業がとても面白くて、自分も大学生になったらあの女子学生と同じように機織りをやってみたいと思うようになりました。
これが、わたしが染織に興味をもったきっかけです。

 大学に進学し家政学部生活美術学科の染織を専攻してからは、すっかり染織にのめり込んでしまいましたね。


――大学生の頃はどのように過ごしていましたか?

 染織の勉強に没頭していました。専攻にくわえて、プライベートでも染織工房に通って染織の勉強をしていました。

 当時在籍していた旅行クラブでも、東北に行くようなことがあれば、わずかな合間をねらって日本の伝統織物品を展示する会館を見学する計画を立てるほどでした。事前に連絡をとって普段は見られないような貴重な資料を特別に見せていただいたりしました。学生は教育の一環として、時にこうした優遇を受けられたのでよい思い出ですね。

 それと、近い未来に失われる可能性の高い伝統工芸があると聞けば、現場に赴いて「見る」ことを積極的に行なっていました。その時にしか見られないことがあれば、必ずその時に見ておく必要があると思っていました。なぜなら、直接体験することと、人から見聞きすることでは全く教養の質がちがうと考えていたからです。

 あとは、いろいろな人の良い面を取り入れて自分の染織スタイルを確立していきたいと考えていたので、講習会や体験会には積極的に参加しましたね。


――染織の勉強にとても熱心な学生だったのですね。ものづくりや伝統工芸に興味があったのですか?

 とくに興味はありませんでした。小学生の頃に家庭科と手芸が好きだったわけでもありませんでしたし。ただ、実際にやってみたら面白かったというのが本音ですね(笑)。


――意外です(笑)。話が変わるのですが、草木染めとの出会いはいつ頃ですか?

 大学2年生の頃、草木染めの講義中でした。草木染めが好きな非常勤の先生がいて、講義に草木染めを取り上げたのです。

 染織を教えている大学や専門学校では一般的に化学染料を素材によって使い分けて正確な色に染める方法を教えていますが、その先生は化学染料で染めたあとにさらに草木の色で染め重ねる方法を教えていました。

 化学染料で染めたときの色はすこしギラっとした印象ですが、さらに草木の色で染め重ねた色はやさしく落ち着いた印象で服地にしやすい。といった、理由のためです。

 はじめて使ったのはヤマモモのチップで服地用に糸を染めました。単なる赤茶色のチップでヤマモモがどのような植物かも知りませんでした。でも、実際に煮出してみると鮮やかな黄色の色がしっかり出てきたのでびっくりしたことを覚えています。


――どのようなものを染めることが多いですか?

 スカーフやハンカチなどの既製品を染めるように思われることがありますが、手織りをするための材料を染めることがほとんどです。なので、染めるものは服地やタペストリー制作の材料に使う糸が多いですね。


――もしかして、材料である糸もご自分で紡がれるのですか?

 学生の頃にプライベートで通っていた工房の先生は糸紡ぎをやられていたので、手織りに加えて糸紡ぎも習いました。

 気づいたら手織り以上に糸紡ぎばかり習っていたほどでしたね(笑)。だから、糸紡ぎの技術はあるので最近までは自分でやっていました。

 でも、糸紡ぎの技術があるからといって、糸紡ぎ・染色・織りを一環してすべて自分だけでおこなうのは難しいですよね。ひとつの物を制作するのにあまりにも膨大な時間が掛かってしまうので。一般的に、糸紡ぎ・染色・織りはそれごとに仕事にしたり、趣味としてやられている方が多いかもしれません。わたしも今では糸紡ぎをする機会は滅多にありません。


――話が草木染めに戻りますが、草木染めのどういったところに魅力を感じますか?

 一番の魅力は偶然のおもしろさだと思います。ある程度の同じ条件で染めたとしても、微妙な色の違いが偶然に出たりします。人によって捉え方は違いますが、わたしはこの偶然をおもしろいと感じています。

 それと、草木の種類がとても豊富にあるといったところも魅力です。自然にはいろいろな草木がありますが、わたしの著書で取り扱った草木はその中のまだまだ一部です。未だ試したこのない草木がどんな色に染まるのか思いを馳せるとワクワクしてきます。


――草木染めをはじめてから何か変わったことはありましたか?

 たとえば道を歩いていても、ふと草木に目がいってしまうようになりました。あの木の名称はなんだろう? この花からはどんな色がつくれるのだろう? などと、目に入った草木について考えますね。これは、草木染めをはじめる前まではなかったことです。